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キャップと軸のネジゆるみにくさ、締結力について

多くの万年筆のキャップは、軸との接合にネジが使用されております。多くの筆記具は引き抜くキャップですが、万年筆はネジキャップであることが多いです。
万年筆のキャップがネジで開閉する方式であることは、筆記具としてのステイタスを高めているかもしれません。
このネジキャップの締結力(ゆるみやすさ)について、軸キャップを設計し、ネジを実際切っている立場として、ご説明させて頂きます。
以前少し書かせて頂いたこともありますので、以下の記事もご参照ください。
http://masahiro14k.blog67.fc2.com/blog-entry-245.html

結論を申しますと、ねじのゆるみにくさは、ネジの引っ掛り率と、ネジしまり終わりの固定方法(固定部分)の構造のみで決まります。
回転数は関係なく、回転数のみで語れるほど単純な話では無いです。

キャップのネジは、締め終わったときに、ピタッと止まりますが、この止まる仕組みはいくつかあります。もっとも理想的な順番に書きますと、
A 首の先端が、キャップの中の段差や部品に当たって
B 軸に段差を設け、その段差とキャップの入口が当たることにより決める
C オスねじとメスねじの終わりまでネジが達することにより締め終わる

Aは、もっとも理想的な構造で、キャップの中に段差を設けたり、ナカゴやインナーキャップと呼ばれる筒状の部品の入口を首先端の受けとすることにより、キャップ閉め終わりにこの段差や受けと首が当たって締め終わります。
パイロットのカスタム74透明軸や、カスタム823では、キャップに中に入ったインナーキャップを見ることが出来ます。
インナーキャップの場合は、インナーキャップの材質によって、閉め終わりの感触が異なり、カスタム74では柔らかい感触、カスタム823では割と硬めの感触です。
当店の商品の場合は、キャップの中に段差を設け、この段差平面(正確にはほんのわずか角度をつけてあります)と首の先端平面が当たることにより、ピタッとした独特の閉め終わり感触となり、抜群の気密を誇ります。
首先端とキャップ内部の段差の当たり方を工夫すれば、かなりの締結力を出すことができます。

Bは、軸に段差があるような商品の場合、軸の段差とキャップ入口が当たることにより、締め終わるタイプのものがあります。特にインナーキャップが可動式の商品の場合、インナーキャップ先端の接触で閉め終わりを決めることが難しいため、軸の段差で閉め終わりを決める手法が取られることがあります。この場合、キャップの入口と段差は当たる平面が少ないため、キャップ入口と軸の段差の両方の設計を吟味する必要があります。
軸に段差があるような商品でも、Aの手法が取られている商品もあります。

Cは、軸に段差が無く、Aのようなキャップ内に段差が無いタイプのキャップの場合、ネジの閉め終わりは、キャップのメスねじ入口が、軸のオスねじ終端に達したとき、または軸のオスねじ先端がキャップのメスねじ終端に達したときに閉め終わることになります。
ネジの終端は山が不完全で、ネジが浅い部分があります。そのため、ネジの閉め終わりは、ピタッとはせず、きわめて不完全なものとなります。
通常、この、ネジ終端で閉め終わりを決するような商品はあまりありません。
Aのタイプで首を外して、軸だけをキャップにねじ込めば、このCタイプと同じことになります。

ネジの引っ掛り率は、オスねじとメスねじのネジ山がどれだけ深くかみ合っているかを示す度合いです。単純に申せば、ねじのガタつきのことです。
ネジの引っ掛りが浅いと、ネジが締め終わったときに、ピタッと閉まらず、ネジが弾くようにゆるんでしまい、締結力が全く出ないネジとなってしまいます。
引っ掛り率は、簡単には、オスねじの外径と、メスねじの内径との差で測定することができます。
だいたいピッチ(ねじの山と山との間隔)位あれば、ほぼ100%にちかい引っ掛り率ですが、実際の引っ掛り率はかなり浅いです。
多くの万年筆は、0.7や0.75ピッチのネジが使用されておりますが、実際の引っ掛り率は、0.3程度のものも少なくないです。
引っ掛り率は、ネジをはめたときのガタつきである程度はわかります。
全くガタツキが無いネジですと、ネジの谷にゴミやホコリが入ってしまうとネジが固くなってしまうため、ある程度の余裕は必要です。
もっとも、引っ掛り率が少なくても、切られたネジの山の高さが低い、ネジの頂の形状が台形状のネジであれば、引っ掛り率が少なくても、ガタツキは少ないものです。

引っ掛り率が確保されて、閉め終わりが適切に設計されたキャップは、容易に緩むものではありません。また、ある程度キャップを強く閉めても問題無いです。

キャップと軸とのネジにはあまり関係ありませんが、オスねじとメスねじの材質が違いますと、締結力はまた違ったものになります。
ネジの締結力は、ネジの斜面同士の密着によって出されるものなので、異種同士ですと、ゆるみやすいこともあります。これを防ぐために、異種同士のネジの場合、パイロットのカスタム74などの首オスねじ根元のパッキンのように、緩み止め措置が施されることもあります。

また、キャップと軸とのネジには多条ネジと呼ばれるネジが使用され、特に4条ネジが多く用いられます。
4条ネジの場合、ネジを4回切ったようなネジ、4通りの締結パターンが存在するねじになるため、正確なネジ(ネジを入れたときに軸とキャップが真っ直ぐに装着されるネジ)を切ることは、実はかなり難しい作業になります。
4条ネジが装着出来ても、軸に対して真っ直ぐに閉まらないネジの場合、上記の閉め終わりAのようなキャップ内部の段差に正確に当たらず、ネジの締結力が出ないこともあります。
この4条ネジが真っ直ぐ切られているか否かは、商品を目視しただけではわかりません。軸やキャップを機械に把握して回して見るとすぐにわかります。

ネジの回転数は、オスねじとメスねじのかみ合み合う山数を決するだけで、ゆるみにくさにはほとんど影響しません。
キャップが1回転で開け閉め出来るキャップの場合、ネジが普通の1条ネジならばかみ合う山数は1山のみです。このようなねじですと、1山のみにすべての力が掛かってしまい、ネジ山が折れたりしてしまうことがあり、強く閉めることが出来ないです。強く閉めることが出来ないことにより、締結力が出せないということになります。それ以上に、使用に際し、破損してしまう可能性のほうが高いです。
これを4条ネジにすれば、1回転のキャップでも、ネジ山が4山かみ合う、とても安定したネジとなるわけです。
1条ネジであっても、4回転のキャップならネジ山が4山かみ合いますが、開閉にとても時間が掛かってしまいます。そこで、4条ネジにして、素早く開閉できるようにするわけです。
ちなみに、厳密に申しますと、ネジは4条などの多条ネジよりも1条ネジのほうが、ネジ自体の傾斜角(リード角)が緩やかなので、計算上はゆるみにくいのですが、手で開閉する万年筆の部品に関する限り、リード角の影響はほとんどないです。

当店の商品は、通常の4条ネジのほか、4条ネジと2条ネジを使用しており、余裕は持たせながらも、かなり高い引っ掛り率のガタの少ないネジを切っています。
閉め終わりはすべて平面で決めており、独特のピタッとした閉め終わり感触で、ゆるみにくいネジとしてご好評頂いております。
どのネジも、強めに締めて頂いても問題無いです。

おかげさまで「創業20周年」を迎えることができました。

本日、12/18、おかげさまで創業20年を迎えました。
これもひとえに皆様のご支援の賜物と、心から感謝しております。

20年前、私、内野成広が25歳の時に、万年筆事業を始めました。
この業界は、脱サラで始められる方や、家業を引き継がれる方が多い中、私は全くのゼロから始めました。
それが、今日のような状況に至ることができるとは想像すらできませんでした。
今思えば、今日を迎えることが出来たのは、多くのお客様にご支援頂いたおかげで、奇跡的な幸運だったも思えるくらいです。
技術面では、ペン芯やクリップの製造やペン先の調整、M形吸入方式の製造など、20年前は考えられなかったようないろいろなことが実現できました。
私の商品は、ニーズをくんで商品化したわけではなく、私の思い描いた理想型を商品化している状況です。そのような商品でも、大変多くの皆様にお求め頂き、ご愛用頂く幸運に恵まれ、とても感謝しております。

20年を迎え、改めて、ペン先や軸加工素材が入手できること、そして何より日々24時間の中で、商品を製造できる時間が確保出来、健康な体で商品を製造できるということは、とても幸せなことと実感しております。

今年の春先から、20年目の節目にあたり、各部品を新設計・試作し、新しい部品の開発が実現出来ています。
この成果をもって、従来では実現出来なかった新しい商品の発売を予定しております。
従来の商品の生産終了と多くの新製品の発売等を予定しております。
商品の準備と、お取り扱い店の販売体制が整い次第ご案内させて頂きます。

今後もより一層質の高い仕事をご提供できるよう努力していきますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

ありがとうございます。

キャップレス絣の在庫につきまして

キャップレス絣につき、メーカー完売の軸色、赤・緑・白のうち、赤と白のみ若干在庫ございます。
緑軸は完売しました。
赤と白も完売次第販売終了となります。
詳細は、以下の販売サイトをご覧下さい。
http://masahiro.cart.fc2.com/ca18/102/p-r-s/

キャップレス絣の黒と紺(販売継続品)は以下になります。
http://masahiro.cart.fc2.com/ca18/71/p-r-s/

なお、パイロット100周年記念万年筆、「富士と明治丸」は、入荷分即完売致しました。

今後のパイロット新製品のご紹介について

9/12 13の両日、東京にてパイロットの販売店向け展示会が開催され、当店も9/12に参加させて頂きました。
今回は創立100周年を迎える記念すべき年、今まで以上にメーカーの意気込みが感じられ、大いに刺激を受けた次第です。

これまで、当店では、このサイトを利用し、展示会で紹介されていた限定品や定番品の新製品情報をご案内して参りました。
特に今回は100周年のため、お問い合わせも大変多いのですが、配布された資料には、発売前の情報をインターネット上に投稿することを遠慮して欲しいとの記載がなされておりますため、今後、当店が独自に発売前の情報をご紹介することは自粛させて頂きたく思います。
ご期待頂いた皆様には大変申し訳ございませんが、メーカーの意向を尊重し、このようにさせて頂くことに致しました。

今現在公式に案内されている内容として、年内に、100周年記念万年筆が発売されます。

現行のコンバータータイプ万年筆廃盤のお知らせ

長きにわたりご愛顧頂きました、コンバータータイプですが、現行仕様(パイロットペン先5号・10号仕様)については今月いっぱいで、廃盤とさせて頂きます。
併せて、コンバーター70仕様の商品も廃盤とさせて頂きます。
これまでご愛顧頂きまして誠にありがとうございました。
若干納期が掛かりますが、8月下旬までご注文はお受け致します。

※近日これに代わる新製品を発売予定です。

Appendix

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カスタム74透明 税抜 10,000円 のご注文は以下からどうぞ
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プロフィール

 masahiro万年筆製作所  代表者 内野成広

Author: masahiro万年筆製作所  代表者 内野成広
総エボナイト製手作り万年筆を製造しております
一切の妥協を許さない完全な商品を目指し、生涯唯一の職業として励んでおります
ペン芯までエボナイトで製造している数少ない万年筆メーカーです。

また、株式会社パイロットコーポレーション 正規販売店として、パイロット商品の販売をいたしております。

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静岡市駿河区大谷769-3
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TEL 080-8106-3964
FAX 054-298-7473
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