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旧来配合のブルーブラックインキについて

 以前、ブルーブラックインキについてご説明させていただきました。こちらです。
 先日、インキについて直接お問い合わせがあり、私は、

「旧来配合のブルーブラックは万年筆を傷めるのでお勧めできない」というようにお返事させていただきました。
 
 その後、ユーザーの方より、

「これは街で売っている普通のメーカーのブルーブラックは勧められないという事なのでしょうか。わたしはそうしたメーカーのものは何年たってもビンのふたを開けない限り、変質なく、ペンに入れて使う場合ももっともいいインクだと思っていました。(中略)ただどうしても上記 第1節の貴文が気になるのですが。」

というお返事を頂戴しました。

 この点について、ご説明させていただきます。
 ブルーブラックインキについては、上記の過去記事にほとんど書き尽くしてありますので、まずはそちらをご一読下さい。

 要点をまとめますと、旧来のブルーブラックインキは、硫酸第一鉄を含む配合のもののことです。パイロットも平成7年頃までこの配合でした。しかし、現在は、すくなからずのメーカーで旧来のブルーブラックインキの製造をやめています。これは、旧来のインキは、どうしても瓶の内部で反応が起きてカス(沈殿物)が発生するという他の色のインキには無い現象が起きるからです。
 このカスの発生については、ずいぶん前に家庭雑誌に記事が掲載されたことがあります。
 分析すると、国産の今は無きメーカーのものなどはかなりカスが発生します。
 軸やカートリッジの内部でカスが発生し、これがペン芯などに入り込んでしまうと、非常に困ったことになります。カスは水溶性がないため、分解しない限り洗うことが出来ないのです。特に気密性の悪いキャップの万年筆でカスが発生することが多いです。
 インキの流通路でカスが染料のインキの固着物ではなくてカスが発生する、考えてみるとこれはとても恐ろしいことです。恐ろしいとは大げさかもしれませんが…。
 つまり、旧来のブルーブラックインキは、カスが発生する「おそれがある」ため、お勧めできないのです。キャップの気密性が悪い万年筆はカスが発生しやすいです。キャップをしていてもペン先が乾いてしまうような万年筆にはブルーブラックインキはやめた方が良いですね。
 しかし、ブルーブラックインキでもカスが発生しにくく事実上全く問題ないものも多くあります。
 私がずいぶん長く使った経験から申し上げますと、ある海外メーカーのブルーブラックインキは全く問題がありませんでした。他社のものでも大丈夫なものもありますが、ひどいメーカーのものはペン先ペン芯に結晶が発生したようにびっしりカスが発生していたことがあります。
 以上は厳密に言った場合の話しであります。一部メーカーにはおよそお勧めできないほどカスが発生するものがありますが、そのようなものはそれほど多くありません。ただ、いずれ旧来配合のブルーブラックインキはどのメーカーも製造をやめるかもしれません。
 それと、事実として、ブルーブラックインキは、インキが洗い流しにくいものが多いです。私などが修理品を試し書きしてそのあと完全に洗い流すときに痛切に実感します。

 結論を申し上げれば、使わないときは完全に瓶の蓋をしていただくなどご配慮いただいていらっしゃるならば、旧来配合のブルーブラックインキでも問題ないと思います。少なくとも、カーボン系のインキよりは遙かに良いです。
 お勧めインキとなると、やはり、こちらで言及した商品となるでしょうか…。

 ちなみに、私は、ブルーブラックインキをよく知るために、硫酸第一鉄などを配合して自分で伝統的なブルーブラックインキを作る実験をしたことがあります。鉄片を使って一部酸化した硫酸第一鉄を還元したことを思い出します。実験レベルの超古典的な配合のインキでしたが、劇的にカスが発生しました。如何にメーカーがカスが発生しないように努力してきたかということを痛切に感じました。また、にじみ防止が案外たいへんなのだということも実感しました。
 何より「伝統的」な配合なのですから、それはそれは各メーカーずいぶん苦心改良してきたわけですから、実験室レベルの古典的配合のものでは使い物にはなりませんでした。

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[T22] [stationery]古典ブルーブラックを作ってみた。

万年筆評価の部屋の「インキと科學」という連載記事を読んで、いつか材料が揃えば万年筆のインクを自作してみようと思っていたのだが、古いWakoの試薬が発掘されたので作ってみた。各物質の量はモルで合わせた方が良いかと思ったのだが、第一次試作なので、結構いい加減に混

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