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インキを止めるということ

 私が力を入れているインキ止式万年筆はどのようなものであるのか、改めて定義・要件を考えてみますと、

●首を外して軸内部に直接インキをスポイトにて入れる

●首軸後部を遮断弁によりふさぐことにより、使わないときにインキや空気圧が軸内部から出るのを遮断することができる

●遮断弁は軸内部に後部つまみと接合する形で配置される

※インキ止式内部構造図
大正時代ころのかなり古い万年筆の説明書二種類
sss.jpg

bbbsetsu.jpg

こんな方式です。
 使わないとき、後部つまみを閉めておけばペン芯にインキが一切流れないのです。
 後部つまみの開閉量でインキの流れる量を調節出来る方式と言われることがありますが、これは完全な誤りです。詳しくは過去記事をご覧下さい。

 この点、インキを止めるという方式は万年筆ではないのではないかという見解も存在することを存じております。
 
 しかし、インキ止式であっても、ちゃんと設計製作されたものであれば、後部つまみをゆるめて軸内部の遮断弁が開けばインキがスムーズに流れるのです。詳細は過去記事をご覧下さい。

 果たして使わないときもペン芯にインキを流す必要はあるのでしょうか。
 キャップが優れていればインキは乾燥しませんし、ペン芯が優れていれば遮断弁さえ開けば即座にインキは流れます。

 もっとも、かつてはインキ止式は過去記事に書いたように、インキを止める構造であるがゆえにインキが途切れるようなものが多く、軸を振ったり中芯操作などをしながら使うものだとされ、問題のあるシステムであると理解されていたのも事実です。
 しかし、ちゃんと設計すれば問題ないシステムなのです。

 使わない時にまでペン芯にインキを流す必要は無いということは強調したいと思います。後ろをゆるめるのが面倒という反論には、キャップを筆記の都度外すことと同様に考えることは出来ないものか、と再反論したいと思います。
 使うたびにスポイトを洗わなければならないという意見には、インキ瓶にスポイトが着いたような形のスポイト瓶(私のインキ止式の品物には一本付属しています)をお使いになれば、都度スポイトを洗う必要はありません。こうして欠点は回避できるのです。

 ほとんどの吸入タイプの万年筆は、ペン先を瓶の中に入れて吸いますが、このような方式は、実はいくつかの問題点があります。
 まず、インキの量が少ないとインキを吸うのが困難になります。また、ペン先を瓶の中に入れるために、ペン先を傷める可能性があります。そのほかに、瓶の中にペン先や首を入れて吸うため、首やペン先周りがインキで汚れますし、吸入後インキの液面からペン先を取り出した直後はペン芯にインキが過剰にたまった状態です。このペン先周りにたまったインキをティシューで拭いてしまうと、実はすくなからずの量のインキを無駄にしている点は看過できません。
 吸入タイプのものでも、ピストンで吸入するタイプは、ピストンの背後にインキが漏れてしまう逆流という現象が知らない間に起きていることがあります。また、ピストンと軸内壁に潤滑剤を塗布しなければならない点もあまり感心しません。インキが直に触れる内壁全体に、毛細管現象には大敵な油を塗布するのはどう考えても感心できることではありません。

 手作りの万年筆でピストン吸入タイプのものがほとんど無いことを残念におっしゃる方がいらっしゃいます。
 私がピストン吸入タイプの万年筆を製造していないのは、上記のような看過できない欠点があるからです。
 また、このタイプの万年筆は量産向けであり、手作りで作っても手作りならではのすごみのある製品は出来ないのです。なかでも、後部つまみの回転運動を上下運動に代える機構は製作が非常に難しく、このメカニズムは市販のコンバーターなどから流用しているケースが多いです。回転運動を上下運動に代える機構は、作ることが出来ないことは無く、私のところでは試作したり、過去記事のように、修理部品を作ったこともありますが修理の経験からしましても、また、製法を考えても、とてもおすすめ出来るものではないというのが私見です。
 手作りで作って、そのすごみがないようでは、作る意味が無いのです。


 手が汚れるとか、面倒とか、いうのは、イメージだけで曲解されていることに他ならないとしか思えません。

 かつてはインキを止めるということを今以上に真剣に考えていた時期がありました。私は、なぜかつてそれほどまでにインキを止めるということを真剣に考えていたのか、以前よりずっと考察しております。単純な推測は出来ますが、奥深いところを想像するのはなかなか難しいことです。日本では圧倒的に人気があったのは紛れもない事実です。

 この点、手元にある、大正時代の丸善アテナのインキ止式万年筆のカタログを見てみますと、以下のような記述があります。
athenastop.jpg

インキ止式は最もよく洗練された様式の一つです
一、携帯の安全なのは勿論
一、インキの流れを適時自在に調整し得
一、軸内の構造単純ですから破損の憂も少く
一、インキ蓄量の多いのでは遙に他の様式に勝ってゐます。
(中略)
粗製品のインキ止めの様式は甚だ不完全で、振り出さなくてはインキが出ません。その為往々とんだ粗忽で赤面する事があります。
(後略)


 携帯に安全で、インキの入る量が多いという点は常にPRされてきましたが、このカタログでも、PRされています。
 もっとも、過去記事にも記したように、インキの流れを適時自在に調整出来るというのは完全な誤りです。
 ちゃんとしたものを作るのが難しい、換言すれば問題のあるものが多い、ということも記されている点は注目に値します。


 大げさな言い方かもしれませんが、きちんと作られたインキ止式軸はどういうものであるか、是非世に問いたい、それが私の万年筆作りの目的の一つです。残念ながら中古のインキ止式万年筆をお求めになっても、そのほとんどはいかんともしがたい当時の事情から大手メーカー品を除き、インキ流れなどに問題があったので、十分な性能は有していないのです※。そこで私が是非ペン芯から設計して作ろうと思ったのです。

 この点から、中古のインキ止式万年筆は修理してもインキの流れの難は改善出来ないことがほとんどです。これはペン先調整とは全く別の話です。従って、当サイトに掲載のインキ止式に関する記述は私の品物のみの話になってしまい、中古のインキ止式万年筆では大胆にほとんどの部品を作り替えない限り、当サイトに記述があるような本当のインキ止式のすごみをご堪能頂くことは残念ながら出来ないです。もっとも、インキ止部の完全調整や、首部分のすりあわせなどの技術をもって、その軸の最大限の実力が発揮出来るよう調整させていただいております。

 私のペン芯がインキの流れに配慮したペン芯であることは、首後部をみればすぐにわかります。完全に専用に設計されたインキ止式ペン芯はどのようなものであるか、ご覧いただくことが可能です。今も昔も、首ごとに設計したペン芯を作らなければ優れたインキ止式万年筆を作ることは出来ないのです。

 インキ止式万年筆には、引き戻し動作など、インキを止める安全装置、というにとどまらない優れた特徴があるのです。
 何より、筆記時に後部つまみを開けるときに聞くことができる気密が解放されるときの音、これを聞くとき、インキ止式の良さを実感せずにはいられません。

 確かに昔は、古典的な稚拙なペン芯の機能を補うための安全装置としてのインキ止式だったかもしれません。両ベロという超古典的なペン芯は、インキを止めてその都度開けながらインキを出しながら使わないとまともには使えないような代物です。現在において、現代的なペン芯のもとでは安全装置としてのインキ止式構造は必須ではありませんが、安全装置というだけでない、構造上のすばらしさと、作る上でのやりがいを実感する方式なのです。

 これまで、インキ止式万年筆はずいぶん誤解されてきたと言わざるを得ません。専門家でも、この万年筆だけは詳しい方がほとんどいらっしゃいませんし、軸を振りながら使うものだと言われてきた位です。
 私も、パイロットのカラーバーディというカートリッジ式から、いろいろな万年筆を使って来ました。ピストン吸入式にあこがれたり、ピストン吸入式がベストだと思ったことがあります。
 でも、いろいろ使ってみて、問題点を知るにつれて、ちゃんと設計すれば、インキ止式には実は限りない性能がある、ということに気づいた次第です。
 カートリッジ式でしたら、特に説明は要らないでしょう。しかし、インキ止式を説明するのは、非常に難しいです。今回、その説明を試みてみましたが、まだまだ説明し尽くしていません。
 
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Author: masahiro万年筆製作所  代表者 内野成広
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また、株式会社パイロットコーポレーション 正規販売店として、パイロット商品の販売をいたしております。

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