08/11/24追記
ボーテックスは、グッドデザイン賞受賞賞品です。
グッドデザイン賞に関するサイトを偶然みつけました。
開発デザイナー(株式会社パイロットコーポレーション 営業企画部筆記具商品企画室デザイン室)の主張を以下に引用させて頂きます。
●デザイナーのコメント
OA化の時代に万年筆の良さを多くの人に知ってもらう為に、まず持っていて嬉しく、又、書く事が楽しくなる様なデザインを心掛けた。
●デザインのポイント
1.まず、気軽な気持ちで(構えずに)万年筆に触れてもらう事を目的とし、カジュアルな配色を中心とした。
2.金属クリップに透明樹脂の装飾体を取り付け、商品の色識別がより明確になる様にした。
●ユーザーの使いやすさや商品の親切さの向上のためにデザインが特に取り組んだ事項
グリップ部を首と一体成形する事によって筆記時の撓みを解消した。キャップを透明にする事によって、万年筆とゲルインキボールペンの目視による識別を容易とした。
●製品の寿命を長くするための工夫、あるいは寿命を全うした商品が廃棄される段階での対応
万年筆はインキ取り替え可能なコンバーター式、ゲルインキボールペンはレフィル交換式である。
審査委員の評価などは、
グッドデザイン賞に関するサイトをご覧下さい。
08/06/24追記
ボーテックスのゲルインキボールペン(生産終了品)を併用すると、万年筆のねじキャップを、はめ込み勘合キャップ仕様にすることができます。
詳細は
未来記事をご参照下さい。
ただし、私自身はねじキャップで使用する方が良いと感じています。後述のねじキャップ開閉のコツもご参照下さい
私は自社で万年筆を製造している立場なのですが、たまに、他社の品物、どの万年筆が良いか質問されることがあります。
修理も行っておりますので、他社の万年筆各種の共通した弱点や、欠点なども少なからず知っておりますが、どれがお勧めか、と言われると難しいところがあります。
どういったところに注目するかによっても全然違ってきます。ブランドか、軸のスタイルなどか、耐久性か。
私は、万年筆は簡単に言えば、書き味が良く、耐久性があるようなものがベストだと思っています。しかし、ブランドやファッション性を求めて万年筆を探している方に、耐久性を進言しても無意味であることが多いですし、万年筆に求めるものが皆さん違う以上、良いものをピックアップするのは本当に難しいです。なお、ファッション性よりも、書き味や耐久性を優先させるべきであることは当然のことです。また、デザインに凝ると、軸が使いにくい万年筆になってしまうことが多いということは軸設計をしている立場からハッキリと申し上げることが出来ます。各社同様の形状の軸が多いという苦言に接することが多いですが、仕方ない側面もあります。使いやすい万年筆を提供したいというメーカーの良心に是非気づいていただきたいです。同じように見える外観軸形状なども、実は各社全然違うことに気づいていただきたいと思います。キャップをはめたときのネジの感じ、後ろにはめたときの感じなど、各社全然違います。細部を見ると、とても同様の形状の軸とは思えない位違いがあります。
私が、他社の万年筆についていろいろ考えてみて、格別にすばらしいと思う商品が一本あります。
それは、パイロットの
ボーテックス(FVS-150R)です。当店の調整販売価格は2,310円です。
私がなぜこの商品をすばらしいと思うかというと、非常にしっかり設計され、また、作られていること、万年筆としては類い希な設計が随所に施されていること、などからです。
そして、何よりすばらしいのは、世に流通している安価な万年筆商品群のなかで、書き味の良い万年筆を初めて使ったときに味わう万年筆への憧憬、「あ、万年筆の書き味ってすばらしいな!」あの感動を体験することができる、数少ない万年筆なのです。何万もする万年筆と同等、いや、それ以上の書き味が楽しめます。換言すれば、そのようになるように、とことん調整させて頂いております。
どんな万年筆も調整さえすれば良くなるのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうでもないのです。根本的な出来が良くないと、調整しても良くならないことが多いです。
ボーテックスは、潜在的に、すばらしい万年筆に調整できる秘めた可能性を持った万年筆なのです。
以下にボーテックスの特徴を書いてみたいと思います。
●ペン先まわりについて
ボーテックス、インキ供給方式はカートリッジ式です。カートリッジ式万年筆というのは、万年筆愛好家の方は良い評価をなさる方が少ないのですが、実は非常にすばらしい方式です。なぜどのようにすばらしいかは、
未来記事をご覧下さい。パイロットのカートリッジは、差し込み入り口の大きさ(開口径)が大きく、とてもすぐれています。開口径が大きいと、インキの流れなどが理想的なペン芯を作りやすいのです。
以上は、パイロットの他のカートリッジ式万年筆にも共通した長所とも言えます。なお、私のカートリッジ式万年筆も、許諾を得て、パイロットのカートリッジが装着できる仕様で製造させていただいております。
安価な万年筆ですと、ペン先の軸への装着が緩かったり、簡素なものもあったりするのですが、パイロットのボーテックスは、ペン先の入り固さが非常に固く、ペン先ペン芯がズレにくいです。これは非常にすばらしいことです。入り固さが固くても、軸やペン芯を損傷することのない設計ですので、安心です。この点お手元でペン先ペン芯を外すことはきわめて難しい位です。しかし、それを欠点と考える必要はありません。お手元で外せない位しっかり入っているのは何より安心感となります。
参考記事ペン先の裏側についていて、インキを運ぶペン芯は、高価な万年筆と同じような、緻密な作りで、素材も、すぐれた素材です。ペン芯のインキ供給量も、全く問題ありません。
ペン先突き出し長さが短い独特の感じなので、コンバーターでインキを吸入する際、他の万年筆よりも、インキの中にペン先を浸けなければならない深さが浅いという長所もあります。
●ペン先について
ペン先は、特殊合金製です。ステンレスです。パイロットのステンレスペン先は、かなりしっかり作られていて、錆びることもありません。また、ボーテックスのペン先は、表面がステンレスの地肌のままで、表面に何もメッキなどされていません。これがまた良いのです!ステンレスなのですから、腐食を防ぐ必要はありませんし、あえて金色にする必要はありません。メッキなどする必要はないのです。ボーテックスの軸の色やデザインは、ペン先に金メッキをする必要が無い(しない方がよい)デザインであるのも良いです。
ボーテックスは、ペン先の太さはFとMがあります。すなわち、細字と中字です。インキの流れは、前述のペン芯がしっかりしているので、仮にインキの流れが芳しくなくても、簡単な調整をすることにより、インキの流れは良くなります。書き味も、ほんのわずかの追加工で、良くすることができます(これら一連の作業や出荷前の商品チェックは、当方でも追加料金無く行っております)。推奨はしませんが、複写伝票にもなんとか使用可能ですので、ボーテックスしか持っていない時でも複写伝票に筆記できます。
●軸について
軸は、キャップが長い、かつての
ショートタイプ※という形状を思い起こす形状です。かつて一世を風靡した「エリートS」という商品に使われていた形状なので、懐かしく思い出される方も多いのではないでしょうか。このショートタイプではありますが、以前のように単なるかぶせ式ではなく、ネジで閉めるキャップです。また、後ろにはめるときは、パチンという抵抗とともに装着できます。
※リンク先は、ショートタイプ万年筆の一例
ショートタイプでありながら、以前のショートタイプ(ペン先の方も、後ろにもす〜っとはめるかぶせ式)とは違うところがすばらしいです。
また、なんと、この軸には、保持部分にラバーが装着されています。万年筆にラバーが装着されているのは驚異的です。筆記時、独特の感触です。ラバーは高価な軸にはなかなか装着出来ないように思いますが、この価格ではラバーが問題なく装着出来るのです!安価だからといって馬鹿に出来ないすばらしさがここにもあります。
キャップのネジは3回転くらいあります。これは少し多めです。3回転は多すぎるので、少し残念ですが、実用には問題は無いです。保持部のラバーと、キャップ内壁が当たって、回転式のキャップですと、回転させるときゴムが当たって独特の抵抗がありますが、問題ないレベルです(新品当初からこの抵抗が大きい方が良い商品といってもいい位です。素材に問題があるわけではありません。設計上致し方ないのです)。この点を低く評価なさる方もいらっしゃいますが、ボーテックスに使い慣れると、キャップを回して外すときのこのラバーのあたり具合も、彩りに思えます。ここまで全体にラバーがあると、この現象は設計上やむを得ないです。ラバーの抵抗感をなくせば音や開閉のためにキャップを回したときにキャップ内面とラバーが当たる独特の抵抗感じは無くなりますが、保持したときのグリップ感が少なくなってしまいます。このような独特の当たる感触がでてしまうにも関わらず、ラバーグリップをここまで幅広く装着したところに、この商品の設計上のすごみがあります。
※キャップ開閉のコツとしては、キャップを回さず、軸最後部のもっとも細い部分(ボーテックスの場合軸の最後部にある色のついた丸い部品)を指先で手早く回すのが良いです。
キャップの方を回すと、クリップが邪魔になり、何回か持ち変えて回さなくてはなりません。それよりも、上記のように軸、なかでも軸最後部を回すほうが、手早く開閉できます。
具体的には右利きの方の場合は、左手でキャップを持ち、軸最後部などを、右手の人差し指・親指・中指などで手早く回します。
この方法で開閉すればきわめて早く開閉することができますので、お試し下さい。
最細部は、径が小さいので円周が短いことにより、手早く回すことができるのです。
お尻の部分、すなわち、カートリッジを交換するときに外す部分もネジで外しますが、このお尻のネジがとても良いです。雄雌ネジともにプラスチックなのですが、このプラスチックは、ネジ摩耗のおそれもなく、ネジのかみ合いもガタがなく、とても良いです。雄雌ともプラスチックのため、ゆるむおそれもありません。
そのほか、軸のラバーグリップの下のところが透明になっていて、そこからカートリッジのインキ残量が見えます。いちいち後部を開けなくてもインキの残量が確認できます。ただし、軸色によっては確認がやや困難なものもあります。
●その他
キャップは透明で、内部が見えます。近未来的な感じがして、なかなか良いものです。透明でも、キャップが汚れにくい設計になっています。
二重鞘構造にはなっていませんが、ボーテックスの機動性と、透明キャップ、たぐいまれなラバーグリップを考えると、現在の状態でじゅうぶんですし、使っていて不具合は感じません。
専用ケースまで用意されているのは、なかなかすごいことです。
当方では、通常、専用ケースに入れてお納めしております。
私は、ボーテックスは、その書き味や、剛性、その類い希な軸を楽しむために、頻繁に使用しております。
最近の筆記具の多くには、保持部にラバーが装着されています。現在万年筆を使い慣れていない人は、ラバーが装着されたボールペンなどの筆記具を使用なさっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。そんな方がボーテックスを使用すれば、違和感なく万年筆をご使用いただけるでしょう。
ドイツには子ども用の万年筆があるようです。
日本には、パイロットのボーテックスがある!と私は思います。
保持部にラバーがありますので、お子様にも違和感なくご使用いただけると思いますし、ネジのキャップは、万年筆に多いネジのキャップの導入体験にはぴったりです。
安価ですが、基本性能はしっかりしていて、安価ならではのすばらしさ(安価だからこそラバーが実現できる!)がある、安価ならではの付加価値が味わえるすばらしい製品です。軸色も、豊富に用意されています。
もし、改善できるなら、キャップのネジは、もう少し少ない回転数であると幸いですね。3回転ですとちょっと多すぎて、急ぐときは焦るときがあります。専門的には、今のピッチのまま、
二条ネジなればベストなのですが、キャップや軸の構造を見る限り、
多条ねじにするのは、少し無理がありますので、現在の状態がベストです。(前述の、軸の中で一番細い最後部を指先で回す、開閉のコツもご参照下さい。)
08/06/24追記
ボーテックスのゲルインキボールペン(生産終了品)を併用すると、万年筆のねじキャップが、はめ込み勘合キャップにすることができます。
詳細は
未来記事をご参照下さい。
出荷状態では、インキの流れがセーブされていたり、書き味が若干悪いものがあっても、改善はできます。当方では、前述のように、検品調整してお納めしておりますので安心です。
おことわり私が検品調整させていただいたボーテックスは、インキ出や書き味を総合的に検品調整させていただいておりますので、書き味はより柔らかめで、インキ出も多めにもできます。
ボーテックスに限らずパイロット製品は通常の採算ベースでは不可能な位、愛情をこめて相当に時間を掛けて吟味しております。市販のそのままの状態より、ボーテックスの良さが引き出された感じになっています。私だったらこのような状態で使いたいと思うようなところまで当方で手を尽くしております。
逆にそれを実現できるところが、パイロット製品・ボーテックス最大の特徴でもあります。どんな万年筆でも、検品調整さえすれば良くなるというものでもないのです。
その点で、一般的なボーテックスと私の検品調整したものとでは、別物と言って良いくらいの相当な違いがあるのが事実ですので、他店にてお求めの方は、ご了承下さい。※
masahiro万年筆製作所パイロット製品販売サイトボーテックス2,310円は以下からどうぞ。
軸色その1 軸色その2パイロットのボーテックス紹介ページ
つづきの記事
最近万年筆に復帰しました。
と同時に手軽でしかも「鉄ペン」でありながらも少し柔らかさのあるボーテックスはプレ万年筆に最適ではないのかな?と思います。
ラバーも今はやりの「ぷにゅ」系でないので違和感はありませんね。
推薦記事を書きましたが同感なイメージをもっておられるかたがいて
「でしょう?」と思ってしまいました。
また遊びにきますね。