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M形吸入方式万年筆、他の吸入方式との比較

 M形吸入方式について、他の吸入方式と比べてどのような違いがあるのか、メリットデメリットについてご説明致します。もし他の方式に絶大なメリットがあれば、そもそもM形は商品化する必要がありません。あらゆる欠点を無くし、私自身が使ってみたいと思うような構造で、なんとか良いものを作りたくて製品化したものであります
 他と比較する必要はないのですが、M形が他に無い方式であることから、この記事をまとめてみました。私の商品にご関心お持ち頂く方のほとんどが、すでに他方式をお使いの方が、メリットを感じて頂けるか、判断の助けとなれば幸いです。他方式のメリットも紹介してあります
 

お読み頂く上でのお願い
本記事は、他方式のデメリットを紹介するものではなく、他方式と比較することにより、どのような方式かをご理解頂くためのものであります。他の方式をお使いの方で、M形にメリットをお感じになれない方は、他の方式をお使い頂くのが良いと思います


 

 カートリッジ式(古い呼称ですが、スペア式と呼ばれることもあります)
  筒に入ったカートリッジインキ(スペアインキ)を装着したりして使用する方式で、パイロット製品を初めてとして多くの商品が市場に出ております
 ゴム復元力を利用して吸入する方式
  パイロットのCON-20コンバーターをイメージして下さい
 ダイレクトタイプ
  ダイレクトタイプはmasahiro万年筆製作所製品の呼称ですが、以前「インキ止式」と呼ばれていた方式とほぼ同一の方式で、軸の中に直接インキをスポイトで入れ、後部つまみを閉めるとインキを遮断する方式です
 ピストン吸入式
  例:パイロットカスタムヘリテイジ92の吸入方式
 プランジャー式
  例:パイロットカスタム823の吸入方式
と比較してみます
●はM形が優れる点、▲は他方式が優れる点です
●や▲はM形が基準となっております
M形の長所だけ見て頂きたい場合は、●をお読み頂ければ良いということになります


M形吸入方式の基本的な情報、メリット

●ダイレクトタイプとしての機能を有しているので、ダイレクトタイプのように首を外してインキを入れることが可能なフェイルセーフ構造で、後部つまみを閉めれば、空気圧すら漏らさない。ダイレクトタイプのように、首を外してインキを捨てたり内部を洗ったりすることが可能

M形吸入方式万年筆は、ダイレクトタイプを合理的に吸入方式として昇華させたものなので、インキ止式ダイレクトタイプとしても従来と全く変わらず機能を損なわずに使用できます。首を外してスポイトでインキを入れて頂くことも可能です。


●中芯ロッドパッキンは、自己潤滑機構を有する特殊パッキン構造のため、メインテナンスフリー。吸入時の後部つまみを引き出し引き戻しをすれば自動的に中芯に潤滑が行き渡るようになっております。状況によっては無潤滑になることもありますが、そのような場合でもパッキンを傷めずに使用を継続できるように設計されております。軸内部に配置されている吸入機構は潤滑一切不要です
●すでに軸内にあるインキを排出することなく、継ぎ足し補給が問題なく可能

継ぎ足し補給とは
 軸内部に吸入してあるインキを瓶に排出することなく、インキを補充することです


●一回の操作で一気にインキを吸入するわけではないので、瓶の中のインキが少なかったり、インキ吸入に手間取っても、焦らず少しずつ吸入が可能。一度にすべての量を吸入せずに、何回かの動作を経て、少しずつ軸筒内にインキを吸入していきますので、吸入動作ミスが少ない
●ごくわずかの負圧による単純な吸入動作で、満量に近い吸入が可能な設計構造(この満量吸入という点は改良に次ぐ改良のすえ実現し、力を入れて取り組んだ点のひとつです)
●透明軸では、独特の吸入動作のおもしろさが味わえる
●すべての吸入部品をエボナイトで作ってあり、劣化するゴム製吸入ゴムや吸入ピストンのような消耗部品が無い。吸入機構部品はインキの中に配置されているインタンク方式で、吸入機構は全くの無給油でOK。ダイレクトタイプの独特の構造を吸入動作に応用しており、吸入部品の気密を利用した吸入方式ではないため、気密低下による影響がない。
●masahiro万年筆製作所のダイレクトタイプと同様、中芯自動調整機構内蔵

カートリッジ式万年筆とM形を比較して
▲カートリッジ式は、インキの補充が極めて簡便で、インキの持ち運びも容易
▲コンバーターを使用することにより、瓶からインキを吸入することができ、好きなときに、どちらにも転用できる
▲カートリッジ式の軸は単なる筒(ホルダー)で、首部分にインキ供給に必要な主要部品が密集しているので、壊れにくく、製造や修理が容易で、価格も安価
▲カートリッジだけを使用すればインキのランニングコストは高いが、空カートリッジ詰め替えやコンバーターを使い瓶入りインキを使用すればランニングコストは高くはない
●残念ながらコンバーターは消耗品として定期的に交換してリフレッシュする必要がある場合が多いが、M形は耐久性がある構造に設計してある
●カートリッジ式はインキの入る量が少ない

ゴム復元力を利用して吸入する方式とM形を比較して
▲てこ式・レバーフィラーといったような非常に多くの商品が古くから存在し、操作方法もわかりやすくなじみ深い
▲ゴムさえ交換すれば、ゴムをつぶす金具に損傷が無い限り、吸入機構は、完全にリフレッシュできる
●M形は軸内部のインキが流動し、インキ吸入量も多いが、ゴムタイプでは、ゴム内壁にインキが付着して吸入したすべてのインキが利用しにくいことがあり、インキ吸入量もあまり多くない
●ゴム復元力応用タイプは、ゴムの耐久力が鍵となり、特殊なゴムを利用する場合、その入手性が悪いと修理が出来なくなってしまう。もっともゴムについては、ビニール系のものは耐久力はかなり良い

ダイレクトタイプ万年筆とM形を比較して
▲ダイレクトタイプは、内部に吸入機構を有しないので、インキがM形よりは多く入る
▲当方販売品のダイレクトタイプに標準添付しているようなスポイトボトルを使用すれば、スポイトを洗う必要がなく、手を汚すことなくインキ補充が可能。吸入することにおもしろみや必要性がなければダイレクトタイプでじゅうぶん
▲M形は、製作上難易度が高い部分がいくつかあり、精密な加工が必要なため、ダイレクトタイプよりは高価になってしまう
●M形は首を外してスポイトで入れることも出来るが、吸入が出来るという本当の意味の両用タイプとしてメカニズムを堪能できる
●インキ瓶しかない場合、スポイトが無いとダイレクトタイプではインキ補充できないが、M形では問題なくインキ補充でき、スポイトボトルやスポイトが無くても補充できる
●ダイレクトタイプの首を強く閉めすぎてしまって緩まない場合はインキ補充できないが、M形では首を外す必要がないので首が外れないようなことがあってもインキ補充は問題なく可能

なお、M形でも首と胴は完璧にすりあわせており、首はかたく締め付ける必要はありません


●ダイレクトタイプにスポイトで入れる場合100パーセント近い満量を入れることは難しいが、M形は満量の吸入が可能

ピストン吸入式とM形を比較して

▲通常の注射器ピストンと同じような感じで吸うため、吸入メカニズムがわかりやすい
▲非常に多く流通している方式で、各所で紹介されており、有名メーカーのほとんどがハイエンド商品の吸入方式として採用している方式のため、なじみ深く絶大な人気で、販売もしやすい
●M形は、インキ内部に吸入機構が配置されているインタンク方式であり、吸入機構からインキが漏れるような心配は無用だが、ピストン吸入式はインキ外の一番背後にピストンがあるため、ピストンが劣化したり潤滑が悪くなったり軸内壁が傷ついたりしてピストンの気密が悪くなると、ピストン背後にインキが漏れてしまう(逆流現象と呼ばれます)し、漏れは絶対に起きないように管理が必要。ピストン背後にインキが漏れるとすぐにわかる商品もあるが、ピストン気密部分を見えないようにしている軸では、インキが漏れてもすぐにはわからず、時間がたって、後部つまみのところから漏れ出す逆流現象が起きてから気づくことが多い。
●M形は内部吸入機構に潤滑が不要だが、ピストン吸入タイプでは、定期的なピストンの潤滑は必須で、潤滑が悪くなると、ピストンの動きが急激に硬くなってしまうことがある。また、インキにさらされる軸内面を潤滑するため、潤滑剤を吟味しないと、インキやペン芯に混じって毛細管現象を悪化させてしまい、インキ出が悪くなってしまう
●ピストン吸入式はペン先を下にした状態で継ぎ足し補給が出来ない(ペン先を上にして後部つまみをゆっくり回して行えばピストン吸入式でも継ぎ足し補給は可能と言えば可能)。M形は単純に通常の吸入動作を行うだけで、継ぎ足し補給が可能
●M形は首を外せば素早くインキを排出できる
●構造上ピストン吸入式は100パーセント近い満量を吸うことが容易に出来ないが、M形は可能

プランジャー式とM形を比較して
▲なんといっても注射器とは反対の動作の素早い吸入のため、吸入音と動作メカニズムが群を抜いておもしろい
▲軸内部にあるインキを素早く一気に排出できる
●プランジャー式は構造上100パーセントに近い満量を吸入することができない。何度か吸入動作を繰り返しても吸入量は大して変わらない。吸入動作を繰り返すと、その都度吸ったインキのすべてを排出し再吸入ということを繰り返しており、少しずつ吸入していくM形とは根本的に異なる
●プランジャー式は継ぎ足し補給ができないことはないが不可能に近く、いったん吸ったインキをすべて排出してしまう。M形は、継ぎ足し補給が極めて容易
●プランジャー式は、一瞬で吸入するために多大な負圧を利用することから、後部つまみの吸入動作が少し硬くなりがち。また、軸内部吸入機構の潤滑も必要な場合が多い。M形はごくわずかの負圧しか利用しないので、後部つまみの吸入動作がプランジャー式ほどは重くならない。吸入機構の潤滑も不要
●プランジャー式は一瞬ですべてのインキを吸うので、その瞬間絶対に首軸端面はインキに浸っていなければならず、浸っていなかった場合は、軸内のインキをすべて出して再度ゼロからの吸入になる。また、吸入動作の際、PILOTのINK-70ボトルのようなものを使わないと、一気に吸うため、ペン先先端をインキ瓶の底に当ててペン先を傷めてしまう恐れがある
M形は後部つまみの往復動作により、何回かに分けて吸うため、往復動作時、液面に首軸端面が浸っていないときがあっても、再び液面に首軸端面を浸して吸えば、問題なく吸入し続けることができる
●プランジャー式は、インキが入っている状態でうっかり後部つまみを引き出してしまうと、インキが出てしまい、それを防ぐ方法が無い(外出先などで間違えて引き出してしまうと大変に困ってしまう)。M形はインキが入っている状態でうっかり後部つまみを引き出しても、ペン先を上にして後部つまみをゆっくり戻せば、インキがペン先から出てくることは無い。
●プランジャー式も軸内部のインキ内にピストンがあるインタンク方式なので、ピストンによりインキが漏れることはないが、一回ですべての量を吸入する一回限りのチャレンジとなるため、ピストンの気密が悪化すると吸入量が減ってしまう。また、軸にインキなどの液体が入っている状態で後部つまみを引き出すと、ピストンがインキの中に潜り、そのときに軸最後部のパッキンに圧力を掛けて、インキを漏らせやすくなることがある(これは設計次第であり、パイロット823などは考慮された設計になっております)。M形は、後部つまみを引っ張っても、軸最後部の中芯パッキンに一切の圧を与えません
●適切に首をすり合わせて修理したオノトなどのような首をゆるめることができるプランジャーはインキをスポイトで入れることもできるが、軸入り口に配置されてある大きな吸入弁が邪魔となりインキが入れにくいことがある。また、軸設計次第ではあるが、この吸入弁がインキ出を妨げることがある。M形は、中芯弁の太さもダイレクトタイプと同じなので、インキ補充など問題なく可能であり、インキ出についてもダイレクトタイプと全く変わらず、中芯弁が邪魔にならない

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ご注意
以下の動画では、PILOTのINK-70ボトルを使用しております
このボトルには、首軸端面を受け止めて、ペン先が瓶の底に当たらないようにする部材が入っています
このため、動画では、瓶内部の部材に首端面を当てて、瓶内部に押しつけるようにして吸入しております
決して瓶の底にペン先を当てているわけではありません

↓HD動画です


ご質問ございましたら、お問い合わせください

以下、プランジャー式の参考のために、以前UPしていた、オノト万年筆に関する記事を再掲しておきます

現在オノト万年筆の修理は行っておりません
以下はあくまで参考記載です


 

今回は私の修理したオノトプランジャー式万年筆の取扱説明書をまとめてみたいと思います。
 なお、以下の方法は、私が修理したオノトのみで、他で修理したオノトでは以下の手法では扱えないものもあるので、十分ご注意ください。

オノト万年筆修理に関する総合的ご説明
オノト万年筆吸入音

※onotoの大正期ころの箱ラベル
onotohako.jpg


※説明に使用させていただくオノトシェブロン万年筆
P1010031.jpg

P1010011.jpg


1,インキ吸入
●オノト独自のプランジャー機構を利用したインキ吸入方法
 まず、後部つまみを画像のように完全に引き出します。
P1010082.jpg

 その後画像のように後部を引き出した状態でペン先を瓶のインキ内に入れたままにして後部つまみを戻すようにして吸入するように紹介されることが多いです。
P8190029.jpg

このまま後部つまみを戻して行くと勢いあまって瓶の底にペン先を当てて傷めてしまうことがあります。インキを吸入するのはほぼ戻し終わった一瞬ですので、ずっと浸けたままにする必要はありません。
 そこで以下のようにします。
 まず、内部にインキが空の状態で、何度か後部を引き出したり納めたりします。ほぼ戻し終わった画像のような位置で空気を吸う吸入音がすると思います。
P8190028.jpg

吸入音がする手前の位置を覚えておきます。
 実際の吸入は、以下のようにして行います。
 まず、後部つまみを完全に引き出します。
P1010082.jpg

そして、上記の吸入する寸前まで戻します。吸入音がするまで戻してはいけません。吸入音がする寸前は、だいたい画像のような位置になります。
P1010077.jpg

後部つまみを引き出して戻すこの一連の動作は、軸内部にインキが入っているとインキが出てきますので、瓶の上で行ってください。液面にペン先を浸ける必要はありません。
 そして、軸を画像のような持ち方をして、ペン先が完全にインキに浸り首端面までインキ瓶の液面に浸けます。そして、押しボタンを押すように、尻を戻します。
P8190021.jpg

一気にインキが吸われます。片手は瓶を持てばインキの量がやや少なくても、傾けることにより効果的に吸うことができます。
 スパスパッとすぐに吸入しないと吸入に必要な真空が漏れるのではないかと思われるかもしれませんが、吸入前の状態で手で持ち替えるなど、しばらく保持しても吸入に必要な真空が漏れることはないように調整してあります。
 また、私の修理したオノトは、後部つまみにつながっている中芯と軸の間で気密を保つコルクパッキンが長持ちするように、最初は後部つまみの動作が硬いですが、上記の手法で吸っていただければ、問題なく吸入していただけると思います。通常は1年ほどで傷むケースもありますが、現在のところ、4年ほど経っても問題ないというご報告を頂戴しております。

●スポイトを利用したインキ注入方法
 瓶の中のインキが少なくなって首端面まで浸すことができなくなったときなどに、スポイトで入れていただく方法もあります。
 まず、首をゆるめます。そうすると、画像のような状態になります。
okyu.jpg

画像のピンク色は吸入弁です(わかりやすくするためにピンク色に画像処理してあります)。この吸入弁と軸の隙間に先端がポリエチレンなどの柔らかい軸を傷つけない素材のスポイトを差し込んでインキを入れます。
okyu2.jpg

ガラス製のスポイトは軸や内部部品を傷めるので絶対に使用しないでください。
 私が修理したオノト以外は、絶対に首をゆるめないで下さい。私が修理したオノト以外ではこのスポイトを利用したインキ注入はできません。

2,筆記方法
 後部つまみを画像の量くらいゆるめます。それにより、内部のインキ遮断弁が開きます。この遮断弁は前述の吸入弁とは異なり、軸先端の中心に見える尖ったもののことです。そして、後部つまみをゆるめたまま筆記します。
P8190028.jpg

そして、筆記が終わったら、必ず後部つまみを完全に閉めます。
P8190071.jpg

そうすれば、首入り口(ペン芯の最後部)が遮断弁で閉じ、インキはおろか、空気圧すら漏らしません。オノトの純正の状態ではこの遮断弁の気密性はあまり良くありませんでした。この遮断弁の調整は非常に難しく、オノトはさらに調整が難しい構造をしており、修理の際も通常はこの部分のメインテナンスは行われていませんが、私が修理したものは、完全にチェックして、問題のあるものは修正しております。

●遮断弁の気密を確認する方法
 使用した後、後部つまみをねじって閉めます。
 そのまま一晩程度すぎて、再び使用するとき、耳元にペン先を近づけて後部つまみのねじをゆるめてみてください。
 気密が漏れる音である、「じゅっ」という音がするかもしれません。遮断弁の気密が保たれていないとこのような音はしません。私が修理したオノトをお使いの方は是非この音を確認してみてください。残念ながら私が修理したもの以外のほとんどのオノトはオノト製造当時も気密が完全には調整されていませんでしたし、ほとんどの修理では、遮断弁の気密までは配慮されて修理されていないので、この音はしません。
 なお、この音は、以下の時に聞こえることが多いです。
・インキの量が少ないとき
・前回使用後再使用時までに気温の変化が著しいとき
 気温は、大げさには変わらなくても、軸内の空気は案外膨張収縮しているものです。軸内の空気が多い状態、すなわちインキの量が少ないときと、空気がより膨張収縮する気温の変化が著しいとき、このような時に後部つまみのねじをゆるめて遮断弁の密閉を解くと、より大きな音がします。

3,トラブルシューティング
●書いていてインキがとぎれた時
 オノトのプランジャー吸入機構万年筆の場合、軸構造に問題があり、後部つまみをゆるめておいてもインキが途切れてしまいます。その場合は、軸を振らなくても倒立していただければ、インキ出は元に戻ります。
 倒立動作はペン先を上に向けたり下に向けたりして、手首をひねって軸を反転させることを繰り返すようにして行います。
P8190016.jpg

P8190017.jpg

 なお、軸を振ってもインキが出ないような調整がされたオノトもありますが、私の修理したものでは、倒立動作さえすれば問題なくインキ出は回復します。
 軸を振ってもインキが出ない品物か否かは以下の方法でわかります。
 まず、インキや水を吸入した状態で首を外して、軸を下にします。そして、軽く倒立させるか、緩く軸を振ります。画像のようにインキが出てくるはずです。
P8190044.jpg

繰り返せば、最後の一滴まで完全に出るはずです。軽く倒立させたりしてもインキが画像のように出てこないものは、内部の修理に問題があります。
 なお、軸を振ってもインキが出ないようなものですと、上記のスポイトを利用したインキ注入方法は採れません。
 倒立動作などしないで後部つまみをゆるめさえすれば軸内の最後の一滴まで使えれば良いですが、オノトは構造上出は持続しないです(この点から言うと、万年筆の要件特に第4要件を満たしていないです)。

●書いていてインキがあふれたとき
 onotoの場合、ペン芯が古典的なペン芯が装着されていて、現代のペン芯に比べると至って単純です。また、カートリッジ式のように、軸の中にインキ筒があるという方式ではないので、体温が直に軸素材を通じてインキに伝わります。
 インキがペン芯にあふれる理由はこの二点に起因しています。

※インキがあふれた状態
P8200046.jpg

 ペン芯が古典的なので、インキがペン先にかなり過剰に伝わります。ちょっと軸を振るとインキが紙面に飛ぶ位です。これは、古典的なペン芯である以上仕方ないです。逆に言うと、ペン芯は、現代(昭和30年代以降など)では、かなり進化しています。
 一方で、もし仮にペン芯が現代的ペン芯であっても、インキがたくさん入る品物であればあるほど、温度による影響は避けられません。つまり、インキがたくさん入っているうちは良いですが、インキが無くなるとインキがあったところには空気が存在します。ご承知のとおり、液体は温度によって膨張収縮はあまりしませんが、空気は、液体とは比べ物にならないくらい膨張収縮します。インキがなくなってくると、空気が体温で暖められて膨張してボタ落ちしてしまうのです。
 これを防ぐには、インキは常に満タンにしておくのが良いと言われてきました。しかし、onotoは、継ぎ足し補給ができません。いったん軸のインキは全部でてしまうからです。一度吸入したインキをまた瓶に戻すのは感心しません。この結果、オノトの場合、常に満タン状態で使用するというのは無理があります。

 ではどうすればよいでしょうか。

 私が修理したonotoは、前述のように、後部つまみを閉めていただければ、軸から軸内部のインキはおろか、空気圧すら漏らさないように出来ています。実際onotoはこのように完全に密閉すべく志向していましたが、現実には完全に調整されたものは非常に少なかった事実があります。
 しかし、私が修理したものは、後部つまみを閉めていただければ、内部で発生した空気圧すらもらさないようになっています。
 従いまして、もし、ペン芯にインキが供給過剰になったら、後部つまみを閉めさえすれば、それ以上インキが軸から出てくることはありません。
 ペン芯が古典的であり、軸にたくさんインキが入り、体温が直にインキに伝わる構造である以上仕方ないです。それを補うために、インキを止める操作を活用するのです。
 ちょうど車が下り坂でシフトダウンするようなものです。
 ただし、私がお直ししたonotoでしか、この手法は使えません。通常ここまで完全に調整されることは無いからです。 

 なお、ペン先にインキが供給過剰になったとき、後部つまみを閉めればそれ以上の供給は遮断されますが、ペン芯ペン先にたくさんのインキがたまってしまった場合、それは筆記で消費するか、ふき取るなどしかありません。うまく操作すれば、引き戻し動作といって、軸内に戻すことも可能ですが、onotoのようなプランジャー式ですと、ちょっと難しいです。プランジャーではない、インキ止式という方式ですと、この動作が楽に行えます。引き戻し動作が行えることがインキ止式の特徴の一つです。プランジャー式はインキ止式に吸入機構をプラスしたものでインキ止式の上位方式と言われることがありますが、インキ止式だけに有するメリットが多数あるため、上位・下位ではなく、まったくもって別立ててで考えるべきです。

 現代の品物でも、軸の内壁から直に体温がインキ伝わる品物の場合(カートリッジ以外の大半がそうです)、インキが少なくなると、インキが供給過剰気味になります。インキ止式や、オノトのようなインキ止遮断弁がある構造の万年筆で無い限り、インキを満量近くに保つ以外、回避する方法もありません。こういった物理的な側面は地球上で万年筆を使う限り、回避しようがないです。逆に言えば、カートリッジのように、直に体温が伝わらず軸とインキタンク(カートリッジ)の間に空気の層を持っているものは、温度によるボタ落ち回避の側面から考えるととても優れているといえます。

4,メインテナンス 
 後部つみみを引き出すと、直径3ミリの中芯も一緒に引き出されます。この中芯の表面に定期的に油を塗布すると良いですが、必須ではありません。当方の出荷時点で油は適量塗布して出荷しております。
 使わないときは、軸内部に水を入れておいてください。ワインの瓶を寝かせておくのと同じように、水分が無いとコルクが傷むからです。もっとも、私の修理したものでしたら、仮に水分が無くなっても堅さがほとんど変化しないことも確認しています。
 もし、コルクパッキンが傷んだら、コルクを交換する方が良いです。早くて修理後数年先だと思います。一度私が修理したものでしたら、コルクの交換のみで済むので、安価で行います。
 以前は、コルクを使わない修理をしていたときもあったのですが、今はオノトが当時そうであったようにコルクパッキンを使って修理しています。

 なお、私の製造したインキ止式万年筆は、また、大きな特徴として、中芯と軸との間のパッキンは従来のコルクを全廃しています。様々なパッキンや潤滑剤を試し、ある特殊なパッキンを使用しております。また、自己給油方式を採用し、中芯を出し入れするだけで、パッキンに自動的に給油され、油はインキの方に入ることはなく、仮に油が切れてもパッキンに損傷を与えない、大変苦心した構造になっています。

5,その他私の修理の特徴
 修理の特徴をまとめると、オノト万年筆修理に関する総合的ご説明にも記しましたように、

・首と胴の気密すりあわせ調整
・インキ止部も完全に調整
・吸入量は軸の吸えるマックスをねらう
があげられますが、もう一つ、コルクの入れ精度があります。
 コルクがとても長持ちするように工夫して入れてありますが、そのコルクの中心に中芯を配置しています。当然と思われるかもしれませんが、これがなかなか難しいのです。コルクのちょうど中心にまっすぐに中芯を入れなくてはなりません。
 まっすぐ入っているかは、確認する方法があります。
 まず、後部つまみを引き出します。そして、後部つまみにつながる直径3ミリの中芯を指先でくるくると回します。
P1010073.jpg

当然一緒に軸や後部つまみも回りますが、そのときの軸の振れ具合、つまり、中芯と軸とがどのくらいずれているかが、一目瞭然にわかります。

 そのほかに、各パーツを念入りに組み立て、ピンなどが損傷している場合は、当時と同じ素材で製作し、見た目にも完璧に仕上げています。
P1010072.jpg

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 masahiro万年筆製作所  代表者 内野成広

Author: masahiro万年筆製作所  代表者 内野成広
総エボナイト製手作り万年筆を製造しております
一切の妥協を許さない完全な商品を目指し、生涯唯一の職業として励んでおります
ペン芯までエボナイトで製造している数少ない万年筆メーカーです。

また、株式会社パイロットコーポレーション 正規販売店として、パイロット商品の販売をいたしております。

422-8017
静岡市駿河区大谷769-3
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