Entries

万年筆の定期点検と超音波洗浄機について

最近も、万年筆の定期点検の必要性と超音波洗浄機についてご質問をお受けすることが多いため、まとめてご回答させて頂きます。

●超音波洗浄機について
 超音波洗浄機は非常に便利なもので、複雑に入り組んだ汚れや、洗浄しにくいものなどがとてもきれいに洗浄できます。
 たとえば、整髪用の櫛などは、汚れるととても洗いにくいですが、超音波洗浄機に何度も掛けると、非常にきれいになります。
 眼鏡も超音波洗浄機で洗うときれいになり、店頭で洗浄してもらった経験をお持ちの方も多いと思います(もっとも、眼鏡の場合プラスチックレンズのコーティングが劣化していたり、ツルの先のプラスチックが劣化していると表面が白く濁るようなこともあるようです)。
 万年筆ペン先も、超音波洗浄機で洗うと首内部のインキがきれいに落ちるので、ご愛用の方も多いと思います。
 超音波洗浄機のご使用をご検討の方からご相談頂くことが多いですが、結論としては、用意する必要は無く、有益だが有害な場合もある、とお答えしています。
 超音波洗浄機をご使用になる場合は、水でそのまま洗浄するだけでも効果はありますが、若干の洗剤を溶かした水で洗う必要があります。この際問題となるのが、洗剤分を後にすすぐ必要があるという問題です。ピストン吸入タイプの万年筆で、超音波洗浄後の薄い洗剤分をすすぐために水の吸入排出を繰り返した場合、ピストン吸入タイプに必須な内壁の潤滑が低下する可能性があります。
 また、万年筆の各部品は、許容されるトルクの範囲内で、思いの外強い力で接合されています。超音波洗浄機を掛けると、プラスチック部品で力が加わっている箇所が白く傷がつくことがあります。この傷を、私は、「超音波洗浄傷」と呼んでおります。超音波洗浄機をご使用になり、このような白い傷が発生してしまうことは非常に多く、安価な超音波洗浄機でも発生します。湯煎のように、超音波洗浄機の槽の中に液体を浸したコップのようなものを入れ、出力を低下させて洗っても発生します。もっとも、この傷は表面だけのもので、磨けばきれいに消え去りますし、そもそも傷が発生しない個体もあります。しかしながら、この傷が発生する箇所は、首のリングの付近のようところが多く、リングのメッキに影響を与えずに磨くことは、一般的に容易ではありません。文字通り超音波洗浄傷は超音波洗浄機で洗わなければ発生することはないため、傷が発生したものがあっても商品自体が不良ということではなく、超音波洗浄機で洗ったことが発生の理由となります。
 なお、この傷は、エボナイトでは発生しません。
 
 最近では、以前と比べて、いろいろな色のインキが発売されるようになり、限定色なども多彩に展開されています。このため、色を変えるために、完璧に洗浄されたい方も多いと思います。
 完璧な洗浄はなかなか難しく、お手元では限界があるのも事実です。お預かりすれば、ペン先ペン芯を外すことなく、完璧な洗浄が可能です。
 同じインキを継続してお使い頂ければ、洗浄は必要ないことが多く、洗うとしても水でさっと洗い流す程度で十分です。カートリッジ式の万年筆で一度も洗わずに何年もお使いになり、何の不具合も起きていない方も多いと思います。
 インキは変えないで同じものを継続してお使いいただくのが何よりベストなので、入手が容易で、継続して安定供給されているインキをご選択になるのが一番です。

 超音波洗浄機には他にはない洗浄効果がございますので、ご使用をご検討になる方もいらっしゃると思いますが、すすぎにやや難があることと、白い傷が発生することがあるというリスクをご留意下さい。
 これらのことを考えますと、ご使用を積極的に推奨できるものではありませんし、超音波洗浄機が万年筆ご使用に必須のアイテムではありません。

●万年筆の定期点検の必要性について
 皆様ご承知のとおり、車は定期的に点検分解整備が義務づけられております。
 万年筆は、定期的な分解整備が必要でしょうか。
 商品(より具体的にはインキ吸入方式)によって異なるというのが答えになります。
 
 工作機械の昔からの格言に、
「みだりに分解手入れすることなかれ」というものがあります。
 機械に給油したりすることは必須ですが、頻繁に手入れすることの方は、一見推奨されるように思えますが、調子が良い場合はそのまま使う方が良い場合のほうが多いのです。
 万年筆もカートリッジ式のようなタイプは、何もする必要が無い場合が多く、前述のように、同じ色のインキをお使いになっている場合は、洗うとしてもペン先を流水にかざす程度で十分なくらいです。
 一方で、軸内でピストンが上下するピストン吸入タイプは、ピストン部分の潤滑が必須で、潤滑が損なわれた状態で使用し続けると、不具合が起きる可能性が高いです。このような商品は、定期的な配慮が必要と言えましょう。
 これは、一般の方が容易に給油できない時計などは、定期的なメインテナンスが必須なのと同じことです。

 点検等が不要と言っても、長年のご使用で、知らないうちにペン先先端が変形していたりすることもあります。
 全体的に不具合を来していないかを判断するために、点検するのは有益ですが、変形したりすることはそれほど多くなく、変形すれば書き味やインキ出も悪くなりますし、変形していた場合は、それ以降、筆圧を弱めたり持ち方を工夫する、など、変形したりしないようなご使用を心がけて頂く必要があります。

 以上を前提に、個別具体的商品のメインテナンスの必要性などについて、わからないことがあれば、メーカーや販売店にアドバイスいただくのがベストです。
 一般的に言えば、カートリッジ式はメインテナンスの必要性は少なく、コンバーターの場合も不具合が起きたらコンバーター一式での交換になります。
 ピストン吸入タイプは動作が重くなったらメインテナンスが必要です。
 
 ところで、M形吸入方式のメインテナンスについては、どのように考えたら良いか、これについては、別記事で改めてご説明させて頂きます。
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://masahiro14k.blog67.fc2.com/tb.php/535-e594eb8e

0件のトラックバック

Appendix

お知らせ

masahiro万年筆製作所 本サイト



masahiro万年筆製作所製品
商品価格・最新在庫状況

 
masahiro万年筆製作所 パイロット製品・masahiro製品販売ショップ

販売商品 検品調整スタンスの詳細

ペン先字幅記号について

パイロット製品名入れについての詳細

カスタム74透明 税抜 10,000円 のご注文は以下からどうぞ
ペン先F ペン先M



すべての記事をご覧になりたい方は、
いちばん最初の記事
から、本文一番下の
「次の記事に移動する」
を記事ごとにクリックして、順にさかのぼってご覧頂くか、以下の全記事表示をご利用下さい。

全ての記事を表示する(ベータ版)

プロフィール

 masahiro万年筆製作所  代表者 内野成広

Author: masahiro万年筆製作所  代表者 内野成広
総エボナイト製手作り万年筆を製造しております
一切の妥協を許さない完全な商品を目指し、生涯唯一の職業として励んでおります
ペン芯までエボナイトで製造している数少ない万年筆メーカーです。

また、株式会社パイロットコーポレーション 正規販売店として、パイロット商品の販売をいたしております。

422-8017
静岡市駿河区大谷769-3
masahiro万年筆製作所
090.jpg
FAX 054-298-7473
masahiro14k@gmail.com
http://www.masahiro.gr.jp/

携帯向けページ

PC向けと同じアドレスになります
http://masahiro14k.blog67.fc2.com/
QRコード
携帯向け販売サイトもPC向け販売サイトと同アドレスです
上記携帯向けWebLogサイトから販売サイトにアクセスできます
アクセス方法解説ページ

現在の閲覧者数: