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実はベストなカートリッジ式万年筆

 私が最初に買った万年筆はカートリッジ式のものでした。
 適合するカートリッジがよくわからなかったというのは過去記事の通りです。

 現在市販の万年筆を見るとカートリッジ式の万年筆が非常に多いことにお気づきになると思います。
 なぜカートリッジ式の万年筆が多いのでしょうか。
 各メーカーのお考えはわかりませんが、今回は私なりに考えてみたカートリッジ式のメリットについてまとめてみたいと思います(一部過去記事と重複します)。
 
 万年筆の場合、温度による影響はどうしても避けられません。インキがたくさん入っているうちは良いですが、インキが無くなるとインキがあったところには空気が存在します。ご承知のとおり、液体は温度によって膨張収縮はあまりしませんが、空気は、液体とは比べ物にならないくらい膨張収縮します。インキがなくなってくると、空気が体温で暖められて膨張してボタ落ちしてしたり、インキの量が出すぎる感じになるのです。
 市販の万年筆で、インキが少なくなるとインキの出が良くなるという現象が起きることにお気づきになる方も多いと思います。実際、そのような現象についてのご相談をお受けすることも多いです。

 カートリッジ式以外のほとんどすべての万年筆は、軸素材と直接または間接に接触する形でインキが入っています。そのため、温度の影響を受けることが多いのです。もちろん、軸素材によって影響には差があります。

 しかし、カートリッジ式では、軸の中に軸素材に密着しない形で、空気の層を隔ててインキ筒があるという、万年筆の温度影響を考えるとたいへん優れた方式なのです。カートリッジ内に入っているインキ量も、影響を受けにくいちょうど良い量という点も見逃せません。
各社カートリッジの容量について

 まとめますと、現代の品物でも、軸の内壁から直に体温がインキ伝わる品物の場合(カートリッジ以外の大半がそうです)、インキが少なくなると、インキが供給過剰気味になります。インキ止式や、オノトのようなインキ止遮断弁がある構造の万年筆で無い限り、インキを満量近くに保つ以外、回避する方法もありません。こういった物理的な側面は地球上で万年筆を使う限り、回避しようがないです。逆に言えば、カートリッジのように、直に体温が伝わらず軸とインキタンク(カートリッジ)の間に空気の層を持っているものは、温度によるボタ落ち回避の側面から考えるととても優れているといえます。

 カートリッジ式ですと、そのメーカーのインキしか使えないとか、ランニングコストが高いというご意見もあります。確かにおっしゃるとおりです。
 私は、パイロットのカートリッジの場合は、空カートリッジに入換えて使うという方式をお勧めしたいと思います。パイロットのカートリッジは、開口径が大きく、市販の各社のカートリッジの中では唯一、通常のスポイトで安心して入れることが出来る方式です。他社ですと、注射器のようなものでないと入れにくかったり、表面に膜が張ってインキがあふれてしまうようなことがあります。カートリッジ開口径が大きいというのはペン芯の設計の上からもどんなにすばらしいことでしょうか。
 カートリッジは、カメラのマウントのように、一度決めると簡単には変更できません。この点パイロットのカートリッジの開口径の大きさは、本当にすばらしいと思います。開口径が大きい点もあいまって、差し込み口がなかなかへたらず、何度かの繰り返し使用に耐えます。他社ですと、残念ながら一回限りのものも多いです。
 空カートリッジから縦になっている栓をスポイトで除去していただいて、そして、スポイトでいれればOKです。
 
 カートリッジに入れ換えて使うなんて、なんということを言うのかと思うかたもいらっしゃるかもしれません。しかし、ロットリングやステッドラーの製図ペンはみんなこの方式でインキを入れるのです。

 私がカートリッジ式の万年筆を作っているのは、このように、見逃せない多大なメリットがあるからです。

 もちろん、機構として、吸入タイプなどに愛着を持っていらっしゃる方も多いのはわかりますし、万年筆は、物理的な機構だけで云々されるものではありません。ですが、カートリッジ式にはたいへん優れた点があることは知っていただきたいと思います。

 それと、万年筆の耐久性を考えた場合、カートリッジ式は耐久性がありますね。可動部分が無いので、狭義のアイドロッパーと同等の耐久性があります。もっとも、カートリッジ式でも設計や使用素材によって耐久性が低下することもありますし、他方式でも、極端に耐久性が劣るというわけではありません。
 私が製造している総エボナイトのカートリッジ式ですと、かなりの耐久性があることは事実で、特に耐久性に配慮して設計しております。この点は自負しております。

 なお、カートリッジ式の場合、コンバーターを使って瓶より吸入することも出来ますが、私はカートリッジに入れ換える手法をお勧めします。その方が瓶の最後の最後まで使えますし、他のメリットも多いからです。海外の万年筆では、コンバーターで使用するとどうしても難があるものもありますので、そのような場合はカートリッジでお使いになると問題は解決することが多いです。この点、カートリッジ式のものを「両用式」と呼ぶことがありますが、この呼び方は感心しません。あくまでもカートリッジがメインの方式と呼ぶべきです。
 ちなみに、過去記事のように、コンバーターをお使いの場合は、コンバーターは絶対に外さないで下さい。

 私もかつては吸入タイプの万年筆がベストと思っており、なぜ国産メーカーは吸入タイプを発売しないのか、不信に思ったことがあります。
 しかし、現在、上記のように考察し、不信に思ったことを申し訳なく思い、メーカーの方に敬意を表す次第です。

 

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