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イリジウムはたくさん着いている方が良いのか

 先日、イリジウムは有限であるというような表現を用いました。
 確かにペン先についているイリジウムは有限であり、イリジウムが無くなればそのペン先の寿命は終わりです。イリジウムを再溶接するという手法もありますし、私も設備は有しておりますが、再溶接すると、先端強度が著しく低下してしまうため、全くおすすめ出来ないです。
 一方で、イリジウムは、非常に怖いものでもあり、残量がじゅうぶんにあっても突然取れてしまったり、知らない間に取れてしまうことがまれにあります。私も書いていたらパチンと音がしてイリジウムが取れてしまったことが何回かあります。修理をしていると、特定のメーカーの特定のペン先は非常に取れやすいといった傾向がよくわかります。イリジウムの取れやすさは、ペン先の材質による影響が大きいです。この点、14金がやはり一番です。また、イリジウムの取付方や研ぎ方による影響も大きいです。
 また、最近では、ユーザーの方が不適切な調整を施して、その際に飛ばしてしまうケースが非常に多いです。

 では、イリジウムはたくさんたっぷりと着いている方が良いのでしょうか。
 確かにイリジウムが長手方向にたくさんあれば、それだけ十分な量があり、長く使えるように思います。しかし、当然のことながら、限度もあるのです。

 イリジウムの量については、戦前から議論されており、すでにあるメーカーが発行していた戦前の一般向け万年筆資料に、この点についての記述があるのです。要約すると、

たしかに、少ないと心細い感じがして、つい多く着いた方を取る気になる
しかし一般の方が好むほど山盛りについたイリジウムはたいていはあやしい
少量でも良いイリジウムならじゅうぶん耐久性はある
良いイリジウムはかえってもろいという危険がある
良いイリジウムは安全な量を超えて付けてはかえって無意味であり、むしろ危険なので少量つけたほうが安全



上記のような記述があります。
 一般向けということで割り引いて考えてみても、修理のときの経験から考えてみますと、確かに多すぎるのは危険だと私も思います。
 どの程度が良いのかと言う点は、ある程度数値化してご紹介することもできますが、現行メーカー品(たとえばパイロットのペン先など)が一つの良い参考例になります。
 ただし、どんなにたくさん着いていたとしても、一般の方が研磨などなさると、あっという間に減ってしまいます。研ぎ減らすための余裕などそもそも付加されていないのです。
 従って、理想的には、長さ方向には新品のペン先は研ぎ減らしてはいけないのです。研ぎ減らす余裕をメーカーの方で設定していないからです。逆に言うと、メーカー出荷の状態は、メーカー側でかなり研ぎ落とした状態なのです。

 また、新品のペン先でも、表面だけしかイリジウムが無いように見えることもあります。しかし、それは表面だけの問題であって、実際は内部にもイリジウムがちゃんと隠れて存在しているのです。表面だけみただけではイリジウム残量の正確な判定は難しいです。拝見すれば、何パーセントくらい残量があるかをお答えすることは可能です。
 どんなにイリジウムが長くても調整の際に無駄に研ぎ減らしてはたいへんもったいないですし、文字だけを書くだけなら、通常のメーカー標準品の量でじゅうぶんなのです。

 良いイリジウムとは端的に言えば硬いイリジウムのことです。柔らかいイリジウムは、私の経験から言っても、書けば書くほど書き味が悪くなるものです。柔らかいものは表面の状態も硬いものほど良くならないのは機械部品などから考えても明らかです。硬いイリジウムは、使い込むと本当に良い書き味になります。これは調整では絶対に出せない味です。そもそも調整という作業は、紙の上で何度もこすって行なうわけではなく、方法が全く違うことを考えても調整では出せないということ、ご理解いただけると思います。調整は皆さんがご自身で紙に筆記することにより行なっていただく作業であり、当初からストレスなくお使いいただけるようなスタートラインを設定するのが調整者の役目です。従って、本当にちゃんと調整してあるものは、試し書きなども不要であり、その人に合わせた研ぎというのも不要です。ただし、好みの太さや、ペン先の弾力などをご確認いただくために試し書きはもちろんした方が良いです。
 ペン先先端のイリジウムの硬さではパイロットのものが一番硬いことは有名であり、ペン先地金も、イリジウム接合安定性にとってもベストな14金を使っているものが多いことは素晴らしいことだと思っています。
 修理などでペン先を調整しておりますと、古いペン先のイリジウムには、本当にいろいろなものがあることがわかります。現行品ではお目にかかれない位ひどいものもあります。表面の状態を見ればだいたいの品質はわかりますし、品質の悪いイリジウムは、調整をしても、書けばすぐにわかります。その中でも、古いペン先では、オノトやパイロットのペン先に着いているイリジウムは良いものが着いていました。私が修理した中では、他メーカーでも良いものもありますし、あまりよろしくないイリジウムしか着いていないメーカーもありました。

 ペン先金地金についてはフランスでは18金以上でなければ金と認めないような文化があるらしく、14金ではだめなようですが、悲しい文化だと思わずにはいられません(もっともペン先用としては18金ならまだ大丈夫です)。金品位の違いやベストな金品位などは修理をしていると本当によくわかります。

 金品位は18金か14金、硬いペン先でも柔らかいペン先でも、金地金がぴしっとしているものがベストで、なまくらな特性にして柔らかさを出しているものは感心しません。現実に海外製の現行品でそういう品物も存在します。地金がちゃんとしていて、先端イリジウムも硬いペン先、それが何よりベストです。もっとも、金地金の性質は、みなさんがお手元でお使いになっただけではわからないと思います。しかし、何かあったとき、過度な力が少しでも掛かったときなどに、違いは如実に現れます。

 まとめますと、イリジウムの量で、ペン先の良否を判断することはできません。イリジウムがたくさんついている方が良いペン先ということではないです。
 また、太いペン先から研ぎ出したペン先が必ずしも良いとは言えません。ペン先は、イリジウム量だけでなく、土台の金の部分のバランスや厚みを計算して作られているので、太いペン先をむげに細くしたものの方が良いとは到底言えないです。当該メーカーで、ご希望の字幅のものが販売されていれば、それが「ベスト」なものなのです。
 太いペン先から、超極細への研ぎ出しご相談も多いですが、ペン先の全体設計を考えますと、字幅調整は1ランクにとどめておくべきです。

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